無為の生き方
世界人類が平和でありますように

2章 いのちいきいきと生きる
         ― いのちよ光輝け
 

4 真・善・美

 
美は神の根源の響き

 五井先生は、神は「真・善・美」であり、美はその頂点にあるとおっしゃっていました。

私はこれまで、幾多の芸術に触れ感動し、芸術こそ、神そのものであると感じるようになりました。実在の神は目に見えませんが、芸術として感じることができます。

五井先生は、音楽ではバッハを高く評価されていましたが私も同感です。バッハの音楽は神の根源の響きそのものであり、そこに神がおわします。その響きは、魂を鎮め心を浄めます。

自らは絵を描く人間として、ルノワールが大好きです。学生の頃、国立西洋美術館で見たルノワールの少女像に感動し、ルノワールから多くを学びました。その単純化され洗練された色彩や絵肌(マチエール)から発する輝きは神の生命そのものの響きであり、まさに、底抜けの明るさと愛に包まれています。

平成二十八年、国立新美術館で行われたルノワール展では、すべての作品を見終わった時、高い波動に包まれ、心が浄まったことを実感しました。

これこそが本物の芸術です。

芸術に親しむ

私は、裏山を散歩しながら、気に入った野草や木の枝を家に持ち帰り、生け花をするようになりました。これまで絵画制作で磨いてきた感性とバランス感覚で何も考えず一気に生けます。一人、悦に入り、至福の一瞬(とき)を楽しんでいます。

道端にひっそりと咲く可憐な草花は、何と美しく生命力に溢れていることでしょう。その茎のちょっとした曲がり具合がたまりません。秋は葉が色づきその色合いも最高です。花屋で売っている花はきれいですけど、種をかけ合わせてできた花は本来の種から遠ざかり弱さを感じます。自ら「天空流」と称し、絵の具を野草に代えて「生け花」を楽しんでいます。

何年か前、江ノ島へ行った時、たまたま江ノ島へ渡る橋の上で、ご自分が描かれた絵を売っておられる人に会いました。その絵は色鉛筆で描かれた風景画で、繊細で光輝き、その美しさに感動しました。A4サイズの大きさの絵で、一枚千五百円でいいとおっしゃり、あまりにも安いので、二枚で五千円払うと、もう一枚絵をつけていただきました。

その三枚の絵は今でもアトリエに飾り楽しんでいます。

美的感性を磨こう

やはり、芸術は最高です!

「美」は神様のみ心そのものです。宗教の説法を聞くより、素晴らしい絵を一枚部屋に飾って鑑賞する方がよっぽど素晴らしい。芸術は言葉はいりません。万国共通の「神言葉」です。

宗教の教えは、神を説けどもとらわれをつくり、真の自由を得て解脱することは至難です。また、地球にある宗教のほとんどは、フリーメーソン(*フリーメーソンについては第七章で説明します)に通じエネルギーを奪われています。下手に宗教をやるよりも美的感性を磨いた方がマシです。

ただ素直に「美」を受け入ればいいだけです。

芸術を通して「神様のみ心」を表すことは、本当に大切なことであると再認識しています。私自身、絵に携わる者として、これからも、バッハの響きを絵で表わせるように、更に精進してゆきます。

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