第4章 自然に帰れ
― 自然は神様、山にセルフビルドでミニログハウスを建てる ―
1 山に魅せられて
鮭は生まれた川に戻る
「帰巣本能」と言われますが、鮭は川から海洋に出て成長し、子孫を残すためにまた自分が生まれた川に戻ります。人間も同じものをもっており、山で生まれ育った私は東京で生活するようになっても、山のある多摩地区の学校に勤務し、土日は秩父や奥多摩、主に山梨県の山々を歩き回りました。
急坂で険しい山に登るのはキツク好きではありませんが、登る途中やその頂上から見る景色は最高で、山で出会える高山植物は可憐で美しくあたかも天国の小道を歩いているようです。
私の故郷、広島県三次市に「高谷山」という小高い山があり、車で気軽に頂上まで行くことがきます。その山の頂上には展望台があり、そこから県北を一望できます。特に朝早く行くと、あたり一面、霧が立ち込め、その霧の上に山頂が島のように出て「霧の海」が出現します。
子ども心に見たその光景は脳裏に焼き付き、今でも忘れることはありません。
朝日に輝く富士山に感動!
私は気が付いたら山々を歩き回り、小さい頃見たその風景を探していました。そんな中、広島に帰省した帰途、山梨県の「三つ峠」に寄ったことがあります。朝、登った時、霧に包まれ朝日に照らされた富士山を目の当たりにして、まさに私が求めていたそれであり、その美しさにイタク感動し大地にひれ伏して涙しました。
それ以後、朝日に照らされる富士山を追い近隣の山々に春夏秋冬足を運び、山から見るその神秘なる「富士」を絵にし「吉祥富士」シリーズの作品ができました。
山にアトリエを建てよう
私は五十代に入り、山の魅力にすっかり心を奪われ、退職したら「山にアトリエを建てる」と心に決めました。最初は富士山が間近に見える河口湖や山中湖近辺を探していましたが、次第に範囲が広がり、「富士山」を遠望でき「南アルプス」と「八ヶ岳」を間近にみることができる山梨県北杜市に興味をもつようになり何年もかけ理想の土地を探しました。
富士山と八ヶ岳と南アルプスの山々が同時に見える場所は、現地では一等地でなかなか売りに出ることはなく、また出ても予算に合ったものは見つかりませんでした。しかし、いろんなところを探している内に、建物は森の中の方が風雨から守られ落ち着き、山はデッキから直接見ることができなくても、ちょっと足を運べば見えるところの方がイイことに気付きました。
一時は、中古の物件も候補に入れていましたが、自分が住むのなら自分が造ろうと思うようになり、二千十七年十一月、北杜市白州に、まずは土地を購入する運びとなりました。
世界人類が平和でありますように
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