１　誕生・祖父と父母

誕生、祖父の思い出

１９５６年、昭和三十一年三月二十三日、広島県双三郡三良坂町、中国山地の山間で、元気のイイ玉のような赤ん坊が生まれたそうな。その子はおばーちゃん子で、めっぽう可愛がられスクスクと大きくなったそうな・・・。

祖父は山林業を営み、お金周りはよく株を売買しお金を増やすことが生きがいのような人でした。祖父の名は「石太郎」まさに名は人を表す通り、細かいことは一切気にしない人間の感情というものをほとんど持ち合わせていない「石」のような人でした。

ある日、私はまったく感情を表に出さない祖父をどうにかして怒らせてみたいと思い立ち、おもちゃの拳銃の弾を打つレバーで、祖父の耳を挟んだことがあります。「痛い！」と一言声を発しただけで、やった私を怒るでもなく何もなかったように横になりテレビを見ているだけでした。その時、子供心に「すまないことをした。ごめんなさい。」、この人は本当に感情をもたない石のような人なんだと深く感じ入ったことを思い出します。もしかしたら祖父は「地球原人」だったかもしれません。或る意味悟った人だったのだと今になって思う次第です。

また、私が美術大学に合格した時に、何も言わず百万円を出してくれて、そのお金で入学金や画材、高価な画集を買うことができました。夏休みに帰省すると「のぼる、ちょっと来んさい」ときまって声をかけられ、十万円をポケットに入れてくれました。そのおかげで、周りの画学生は画材を買うために皆アルバイトに励んでいましたが、私は大学四年間アルバイトをすることなく制作に打ち込むことができました。

私は祖父のように株はやりませんが、相場師としての血は流れている様で、唯一、為替の投資だけはやっています。始めた理由は、お金という得体のしれない怪物の呪縛から解放されたいという気持ちが一番です。実店舗を持って商売することは浮き沈みがあり大きなリスクがありますが、タブレット端末と自分の頭一つでできることはメリットです。また物事を秩序立てて整理し相場を読むことは私の性情に合っています。かれこれ十五年、失敗を繰り返しながら自分に合ったテクニカル理論を築いてきました。為替の投資者の八割は資金が続かなくなり止める厳しい世界です。私も大きな損失を出し止めようと思ったことがありましたが、不屈の精神でここまできました。ただし、株や為替、今話題のビットコインにしても実態のないマネーゲームですから勧められるものではありません。近い将来お金の価値がなくなる時が来ますが、それまでの期間限定で守護霊様にお願いしてやらせていただいています。これはやはり祖父から引き継いだ血筋だと感じています。 （お金にとらわれていたことを大いに反省し、２０１９．１．１をもって一切の金融商品から手を引きました。）

父と母

父親は公立の工業高校の数学教師でした。国立の大学を出て頭のキレる人で、「論語」を読み普段は物静かな「聖人」と言っていい人でした。ところが、お酒が大好きで、いったんお酒が入ると酒癖が悪く周りに多大な迷惑をかけていました。飲酒運転で事故を起こし、教育委員会から呼び出されたことも幾度かあったようです。

しかし、父との思い出は多く、よく一緒に魚釣りやキャンプに行きました。「勉強しろ！」などという言葉を一言も聞いたことがありません。私を信じて黙って見守ってくれていました。そのような父でしたから、私はノビノビと自由に好きなことをやることができました。私はそんな父を尊敬し、父の酒癖が悪いのは反面教師として「絶対にお酒で人に迷惑をかけるようなことはしない！」と子供心に誓いました。ところが、大人になり父と全く同じ道を歩んでいることに気づき愕然とします。そのことについては後で触れたいと思います。

母親は洋裁師でした。毎晩遅くまで仕事をやり、私のブレザーを作ってくれたこともあります。とても色彩感覚がよく、私の服装のセンスは母ゆずりのところがあると感じます。小さい頃、私は女の子のようで、母は私に女の子の服を着させたこともあったと言っていました。

人間は、先祖代々、容姿や気質に至るまで、善かれ悪しかれ遺伝子を引き継ぎ進化の道を歩んでいます。ご先祖様や父母があればこそ、私としての存在がここにあるわけです。そのことに思いを向ける時、ご先祖様や両親に対する深い感謝の気持がふつふつと湧いてきます。

ご先祖様から託された大いなる使命の重みを身に染みて感じ入り、更なる飛躍を遂げたいと心に誓う次第です。

　世界人類が平和でありますように