第2章 絵とは神と一体になる祈り
― 私の絵画論 (自然と共に自然を超えよ) ―
画狂人北斎
「富嶽三十六景」の紅富士や波間から見える富士の木版画は有名で、日本人で「葛飾北斎」の名前を知らない人はまずいないでしょう。
「画狂人北斎」( 講談社現代新書・瀬木慎一)いう本が出ており、その中に、数々の北斎にまつわるエピソードが紹介されています。北斎は掃除をまったくせずゴミが家じゅうに一杯になると引越しを繰り返し、生涯に渡って九十三回転居したと伝えられています。また公開で、百二十畳ほどの継紙に達磨の半身を一気に描いたり、米粒に孔雀を二羽描いたり、鶏の足に絵の具をつけて紙の上を走らせて絵にしたりして観衆を驚かせた話などなど、周囲を驚かせた話はきりがありません。
それらを読むとまさに「狂人と天才は紙一重」という言葉がぴったり当てはまり、西洋のピカソ、東洋の北斎と評価される所以です。ピカソは九十才、北斎は九十一才と長生きをし、その両者の自由奔放な生き方は本当に共通しています。
私が北斎の絵に一番魅せられるのは、北斎漫画に見られるその卓越したデッサン力はもちろんですが、やはり思いもよらない構図です。私も富士山を描く者として、北斎が表す富士山はその構図において他に類を見ないもので、スゴイの一言です。
「常識にとらわれない」自由な生き方から、あのような自由な絵が生まれたのでしょう。私自身、絵画は元よりその生きを是非見習いたいと強く思います。
世界人類が平和でありますように
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