第4章 自然に帰れ
― 自然は神様、山にセルフビルドでミニログハウスを建てる ―
2 アトリエを山に建てる
ミニログハウスを建てるよう!
今、「シックハウス症候群」で体調を崩す人が多いと聞きます。建材に含まれる化学物質にアレルギー反応を起こす免疫力がダウンした現代人ならではの現代病です。そんなこともあり、これからアトリエを建てるなら、自然の素材を使ったものにしたい、といろんなモデルハウスを見て回りました。
そんな時、当時同じ職場で働いていた女の先生はまだ四十代の後半でしたが、早期に退職し山梨県の八ヶ岳の南山麓に三千万円くらいで中古のログハウスを購入し移り住みました。その方は山が大好きで年中山に足を運び、ついにはいつでも山に行ける現地に住むことを決めたのです。その当時、その決断の速さにびっくりしました。
私は何回かその方のログハウスにお邪魔させていただき、木の香り、温もりの中で生活することの素晴らしさを改めて実感しました。私も山にアトリエを建てるのなら、「ログハウス」にしようと心に決めました。
格安の土地をゲット
当初、ログハウスを建てるのは、完全にリタイアして年金生活が始まる六十五才になってからを考えていました。しかし、平成二十八年三月に学校を定年退職し再雇用美術教員とし二年間働き、三年目からは非常勤教員として週三日続けて休みがとれるようになり、物心両面に余裕ができタイミングを合わせるかのように土地も見つかり、予定より三年早く「造るのなら今だ」と平成三十年三月、建築をスタートさせました。
土地は百坪で広くはありませんが、一人で住む小屋を建てるにはちょうどいい広さです。この土地は不動産会社が管理する別荘の管理地で、ここの土地を最初に販売した時はバブルの絶頂期で坪単価、七万円くらいで取引されていたようです。今はその当時購入した人は高齢になり土地や別荘を維持できなくなり安く売りに出されています。そんな経緯があり、買っていただけるのであれば安くしますと交渉の結果、何と坪九千円、百坪で九十万円という破格の値段で購入することができました。
自然は偉大なり
購入した土地から一キロ圏内に、富士山を遠望し八ヶ岳と南アルプス・甲斐駒ヶ岳が望める晴らしいローケーションが広がり、牧場の真ん中を走る道には桜並木が続きます。土地を決めたのはこの景色に感動したからです。四季折々、その姿は表情を変えアンビリーバボーです!
私が一年間ログハウスを建てるためにこの土地に通ったことにより、何を見てもその美しさを発見し、非常にデリケートなバランス感覚が芽生えました。以前では考えられない立体と平面の作品が生まれました。それはすべてこの偉大な自然の力によります。
最初、一週間山に滞在し帰宅するとテレビは雑音でしかなく、最初の四か月間はテレビのスイッチを入れることはありませんでした。ちょっと歩けば、こんなに美しい富士山を見ることができます。敷地内には季節により様々な高山植物や虫類が自生し、この曼殊沙華は隣の土地に咲いたものですが若干移植させていただきました。
山ではかなりハードな肉体労働を強いているにも係わらず、何故かお腹はすきません。昼はカップラーメン、夜はざるそばと野菜料理を自分で作って食べるくらいなのですが、体重はほとんど変わりません。最高に燃費がイイ体になりました。
敷地内は自然の宝庫
この土地は購入者が三十年近く放置したこともあり、自然がそのままで残されていました。直径三十センチはあろう「山桜」と、それよりも更に大きい「ドングリ」、直径五センチはあろう「山椒」、そして、何よりも感動したのは「白萩」がそこらに自生していました。
春、「ワラビ」がどことはなく顔を出し、オレンジ色の「キスゲ」と紫色の「アヤメ」が群生し、その美しさに感動!また、秋になると「野イチゴや不思議な「キノコ」、名前の知らない可憐な植物が咲き妖精が乱舞、そこはまさに天国そのものです。
世界人類が平和でありますように
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